先端巨大症
先端巨大症(アクロメガリー)とは、成長ホルモンが過剰に分泌されることにより生じる病気です。
成長ホルモンは「下垂体」から分泌されます。小児期に分泌過剰になると巨人症となります。成人になってから分泌過剰になると先端巨大症(アクロメガリー)となります。
先端巨大症の症状
- 関節の痛み
- 手足のサイズが大きくなる(指輪が入らなくなった、靴のサイズが合わなくなった、など)
- 顔貌の変化(額が出っ張ってきた、鼻が大きくなった、舌が大きくなった、唇が厚くなった、など。昔の写真と比べるとはっきりわかります)
- 視野が狭くなった、視力が低下した
- 頭痛
- いびきが大きくなった
- 高血圧がなかなか治らない
- 糖尿病
- コレステロール値が高い
- 月経不順、性欲低下
- よく汗をかく
久しぶりに参加した同窓会で「以前と顔つきが違う」と指摘され初めて気づいた、という患者さんもいます。先端巨大症の患者さんの顔貌は専門医が見ればすぐに気づきます。
先端巨大症の合併症でもっとも深刻なのは高血圧、糖尿病、高脂血症です。これらは虚血性心疾患、脳血管障害、慢性腎障害を起こす危険があります。
診断
血液検査により成長ホルモン(GH)、血中インスリン様成長因子(IGF-1)を測定し、高値であれば診断は確定します。また、他の下垂体ホルモンの異常、合併症のチェックを行います。下垂体の状態はMRIで調べます。
治療法
検査結果により、手術療法、薬物療法を検討しますが、下垂体に成長ホルモン産生性下垂体腺腫が明らかな場合は手術療法が第1選択です。しかし、手術後もGHが正常化しない場合は薬物療法や、ガンマナイフ治療(定位放射線治療)を追加します。
薬物療法は飲み薬と、注射薬(月1回の筋肉注射)があります。治療の目標はGH、IGF-1の正常化です。薬だけで完全治癒することはほとんどないようです。また、薬物の長期服用による副作用にも気をつけなくてはなりません。
ガンマナイフ治療は下垂体手術後の腫瘍残存が明らかな場合に追加治療として行います。適応になることは限定的ですので、治療実施施設とよく相談して決めます。
当院で初期診断がついた患者さんの治療について、手術は下垂体の手術に習熟した医師に紹介します。薬物治療については当院で可能です。
医療費助成について
この病気は国が指定する特定疾患の一つで、医療費の助成が受けられます。助成を受けるには申請が必要で、その際、医師の診断書(指定された書式があります)が必要になりますので、ご相談ください。