めまい、ふらつきについて
めまいを訴える患者さんは多く、また年齢層も幅広くいらっしゃいます。
めまいといっても、よく話を伺うと次のように表現されます。
- ぐるぐる回るようなめまい
- ふわふわした感じ、雲の上に乗っているよう
- スーッと血の気が引いていくよう
- 動き始めにふらつく
めまいの原因は、この表現の違いだけである程度わかります。
- 耳の奥の三半規管や内耳の障害
- 小脳や脳幹の障害
- 脊髄、末梢神経、自律神経の障害
- パーキンソン症候群に見られるような姿勢反射障害
が疑われます。
めまいの原因で鑑別しなくてはならないのは小脳や脳幹の病気です。たとえば、小脳に脳梗塞や出血を起こしたとき、回転性めまいが起きますが、軽症だと三半規管や内耳の障害によるめまいと症状が似ていて区別がつきにくいのです。しかし、治療法は全く異なり、放置していると命にかかわることもありますので、MRIで脳の検査をすることをお勧めします。
脊髄、末梢神経が原因のめまいは「ふわふわした感じ」、「ふらつく」と表現されることが多く、他覚的所見に乏しいことがあります。自律神経の障害によるふらつきは体動時におきることが多く、立ちくらみのようなめまいの訴えが多いのが特徴です。高齢者では自律神経の働きが衰えてきますので、筋力低下と重なり転倒することが多いので注意しましょう。
パーキンソン症候群で見られる姿勢反射障害は、歩行時に方向転換するとき、バランスの乱れを修正する能力の低下が原因です。転倒をきっかけに受診した際にはじめて診断されることがあります。
めまいの患者さんは他院耳鼻咽喉科を受診することもありますが、診察の結果、当院に脳MRIの依頼をいただくことがあります。脳梗塞や脳出血など(まれに脳腫瘍)が認められた場合は専門病院に紹介します。